アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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毛綱 毅曠 - 地球をデザインする
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東西アスファルト事業協同組合講演会

地球をデザインする

毛綱 毅曠KIKOU MOZUNA


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質疑応答
石川県能登島ガラス美術館
 
なぜ弁天様に注目されたんですか。
毛綱

僕は、地球を人間の意識と連動している脳だと思っているんです。近代になって、いろりおな合理的なもの、政治のイデオロギーなどに、サイエンスを被せてきましたね。そのタガが外れてくると、その中で抑え込まれていたものが出てきます。地域紛争や、宗教戦争などがそれです。ですから、そういう意味ではあらゆる人類の中で深いところに、さきほど言った黒いマリアというか、地母神的な意識があると思うんです。また、ギリシャ的なものや理知的なもの、キリスト教などが全部排除していって封印していたものを駆逐していったのが地母神信仰なんです。逆に言うと、そういうことが地域紛争や未整理の人間の感性、何か意識のようなものと連動してるのではないかと思うんです。ということは、そこを開放して、もう一度見直さない限り建築の問題・都市の問題・宗教の問題・国家間の問題などが解決しないと思うんです。だから僕は、より象徴的に大地母神が騒いでいるのだと見ているわけなんです。

 
私は建設会社の設計部で仕事をしているのですが、いろいろと制約がありまして、なかなか自由な形が出てこない。毛綱さんの最近の作品を見ますと、当初のものに比べて、ものすごく不思議な形態が立体的にどんどん出てきていると思うのですが、どういうプロセスでそういう形が出てくるのか、形態に対する考え方、そういったことをお話しいただけますか。
毛綱

建築の目的—何を表現したいか、何を設計したいかというのがありますよね。僕の場合は、機能的なこととか環境と合うということも大事ですが、もう一つ自分の中の世界や知識をゴタゴタに煮たものを一度吐き出して一つのコスモロジーのようなものをつくりたい、茶室も日常のものとは違って、柱に南洋の木を持ってきたり、茶器をルソンから持ってきたり、いろいろなことをしますよね。小さいながらも自分の好みを組み合わせて一つの自分の世界をつくってしまいたい、というのが現れていると思うんです。近代的なものは機能とか構造とかの整合性だけで出来てますが、もともとの建築は、箱庭などがそうですが、全部世界をつくり変えることで宇宙を捕らえる一つのシステムとしての空間と置き換えて、自分の中でもう一度つくっていこうとしていることだと思うんです。こういうことは建築の評価の中では誰も相手にしてくれないかも知れないですけれどもね。

また、なるべく建築的に完成した質的に高いものをつくりたいと思っています。大技を利かせますと、中技・小技がなかなか利かなかったりしますので、大技をよりシンプルに抑えていくようなやり方も考えています。色と形、光と音というテーマを二極くらいに分けてやっていくことです。

 
日常、建築について話している人たちにある程度伝わるとしても、そういう考えが、一般のお施主さんに伝わるかというのは疑問としてあるんですが、お施主さんをどのように説得なさっていますか。
毛綱

今も美術館をやっていまして、毎月打合せをしていますけれども、やっぱり模型をつくったりしてある程度土俵にのってきたころ、先方が興味を持ってくるとわりと説得は可能ですね。予算などは困難になってくることはありますが…。全く拒否されてしまうこともあるし、逆に相手の方から過激な案を出されたりいろいろあります。しかし、組み立ての仕方さえある程度同じ土俵でやっていけばいいのではないでしょうか。僕の場合は、古今東西のあらゆる建築を持ってきて説明したりしてますので、なるほどこういう考え方もあるのだな、とわかってくださることが多いように思います。

 
アメリカのバイオスフィア?のバイオシェルターなどには興味がありますか。そういう設備といいますか、ハード面のエコロジーはこれからどうなるとお考えでしょうか。
毛綱

そのバイオシェルターは今度僕も見に行きますが、ああいう大きなプロジェクトは、さきほど写真をお見せしたように日本の神道の聖域とよく似ていると思うんです。昔の聖域は、人間が入れない山、森などがあって、柏手を打って意識を送る、メッセージを受けるという意識の交流がありました。それと同じようなかたちで、例えばバイオランドにしても、人間が入らないでコンピューター操作だけでやっていくというわけです。僕はハイテクノロジー、つまり技術の開発は限りなく超能力に向かってコピーされてると思うんです。技術の最前線にあるものは、ヒットラーもそうですし、仏教もそうですけれども、人間が改造されて神に限りなく近くなっていくという一つのメンタルなテクノロジーだと。ですから、テレパシーといったような、脳から脳に直接メッセージを送るような機械を開発していくとか…。例えば「昔の方が人間は高度で、天人に近かった。地上の物を食べて、ウンコをしたり、セックスをするようになって堕落した」という逆進化論みたいなものがあるのですが、テクノロジーもだんだん昔のイメージに限りなくもともと持っていた古代のスタイルに近づいていくという感じがします。だから、太古と未来は連動しているどではないかという一つのSF的仮説を持っているんです。

 
さきほどの都市の「七つのポイント」の話なんですが、そのポイントとなるための条件は今も昔も変わらないんでしょうか。
毛綱

現実のわれわれの次元の都市だけではなくて、ルイス・マンフォードが言うように「都市というのは天上と地下に三層で繋がっている」という感じです。違ったもう一つの未来の都市でもいいでしょう。それと繋がっているんじゃないかと思うんですね。さきほどのルーヴルのピラミッドにしても、過去から現代までいっぺんに同時に見られるという三次元的でない表現ですね。オルセーにしてもわれわれが二十一世紀に向かった都市にいるのに十九世紀の都市の上を歩いているという不思議な演出をしているし。非常に似たようなところがあるのではないかと思います。

 
それは場所性というよりもどう設定するかということで決めることができることになりますか。
毛綱

そうですね。僕の七福神なんかもそうですが、それを意識して、それを読み取ることによって、そういったことを設定できるのではないかと思います。原広司さんの「新梅田シティ」にはそういうものを感じます。空中庭園を見ると、古い人類のバビロンの記憶みたいなものが大阪の上に来ているようで、不思議な大阪のスポットになると思います。

 
少し分かりづらいのですが…要約すれば、過去の記憶と現在がぶつかり合うところがそのポイントになるというようなことでしょうか。
毛綱

過去と未来と現在が繋がるようなところというか、未来と過去は僕の中で繋がっているし…。しかし、次元表現が違うと言ったほうがいいかも知れません。我々の日常でないもう一つの世界、つまり異界に行くと言いましょうか。そのようなところが、やはり都市の要になっていくのではないかと思いますね。

皆さん、よろしいでしょうか。では時間がきましたのでこの辺で終わりにしたいと思います。

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