アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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私の建築手法
隈 研吾 - キノコと建築
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2010 東西アスファルト事業協同組合講演会

キノコと建築

隈 研吾KENGO KUMA

隈 研吾 - 近影

「から傘の家」

「から傘の家」外観。7440ミリ角の平面プランに、方形の屋根が架かる。

本日は、「キノコと建築」という、私にとっても初めてのタイトルで講演します。

みなさんは、キノコが好きな人と言えば、誰が患い浮かびますか。私もあまり数は思い付きませんが、唯一ひとり思い浮かんだのは、ジョン・ミルトン・ケージ・ジュニア(1912〜1992年)という20世紀を代表する現代音楽家です。ピアノを壊して、その壊したプロセスが音楽だと言ったり、沈黙も音楽の素材として使用したりと、非常に前衛的な音楽家なのですが、そのジョン・ケージは、キノコが大好きでした。実際、彼の食事はキノコばかりで、キノコ研究家としてニューヨーク菌類学会の創立にも関わっています。イタリアに滞在した際に出演したテレピのカルトクイズ番組では、菌類学について解答して多額の賞金を得るほどのキノコオタクでした。

建築家でも、キノコ好きではないですが、キノコと建築の話をしている人がいます。篠原一男(1925〜2006年)さんです。私たちが学生の頃は、住宅と言えば篠原一男、というぐらい大変なカリスマ的存在でした。篠原さんは、「民家はキノコである」[注1]として、民家の造形を自然現象のような無意識的なものとして捉えています。実際、篠原さんの初期の作品である「から傘の家(1961年)」では、本当に形がキノコに似ているので、篠原さんが言うのは造形としてのキノコだったのではないかと思ったりします(笑)。

[注1] 篠原一男著、『住宅建築』(紀伊國屋書店、1964年)「民家を意識的な造形であるよりは無意識的な、すなわち、自然現象に近いものと考えることが民家にとって正しい評価である」(50ページ)

Profile
略歴
1954
神奈川県に生まれる
1979
東京大学工学部建築学科大学院修了
1985-87
コロンビア大学建築客員研究員
1990
隈研吾建築都市設計事務所設立
2001
慶應義塾大学理工学部教授
現在
東京大学教授
主な受賞
1997
日本建築学会賞作品賞「森舞台/登米町伝統芸能伝承館」AIA(アメリカ建築家協会)ベネディクタス賞
「水/ガラス」
2001
村野藤吾賞「馬頭町広重美術館」
2002
スピリット・オブ・ネイチャー 国際木の建築賞
2008
エネルギー・パフォーマンス − アーキテクチャー・アワード
Bois Magazine 国際木の建築賞
2009
芸術文化勲章オフィシエ
2010
毎日芸術賞「根津美術館」
2011
芸術選奨文化科学大臣賞(美術部門)
「梼原・木橋ミュージアム」
主な作品
  • 水/ガラス
  • 森舞台/登米町伝統芸能伝承館
  • 石の美術館
  • 馬頭町広重美術館
  • Bamboo House
  • Great (Bamboo) Wall
  • 安養寺木造阿弥陀如来坐像収蔵施設
  • ONE 表参道
  • ちょっ蔵広場
  • 梼原町総合庁舎
  • サントリー美術館ティファニー銀座
  • 根津美術館
  • GCプロソミュージアム・リサーチセンター
  • まちの駅「ゆすはら」
  • 梼原・木橋ミュージアム
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