アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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妹島和世 - 自作について
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自作について

妹島和世KAZUYO SEJIMA


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ふたつの大きなプロジェクトを抱えながら

始めたばかりだと思っていたのですが、事務所をつくってから今年で15年目になります。1995年より西沢立衛と共同で設計もしています。私の仕事と彼の仕事と共同の仕事という、形式的に分類することが難しい仕事を、そのときの状況に応じながら、倉庫という大きな空間の中で適宜処理しています。

今から二年半ほど前に、西沢とふたりで応募したオランダのアルメラという街に建つスタッドシアターという施設のコンペと金沢市の現代美術館のコンペで、偶然にもほとんど同時期に最優秀案に選んでいただきました。それからというもの、事務所の中は大混乱。その大さな仕事をなんとか進めていくということを中心にまわってきました。ふたつともいろいろなことがありながらも、ようやく今、実施設計の終わりを迎えているところです。

最初の五年間くらいは、ひとつか多くてもふたつの仕事が同時期にある程度でしたが、このコンペをとる直前がら、二、三個になり、今はさらにもう少し多くなっています。

以前は規模も住宅程度のものが多かったので、設計にかかる時間も施工にかかる時間も同じで、竣工順に作品の話をしていれば、わりあい簡単に自分のことが話せたように思うのですが、最近は規模もまちまちですし、作品の解説がひとつのストーリーに載ってはきません。私としては、そのスタッドシアターと金沢の現代美術館という大きなふたつのプロジェクトが出来上がれば、自分のあるひとつの局面がまとめられるのではないかと思っております。

自分でやっているので無埋もないのですが、今、何となくいろいろなことがひとつのところに収束して、固い方向に向かっていってしまっている気がしています。そうではなく、むしろすごくスケールの小さなインテリアから大きな規模のものの間で、もう少し幅を広げられないかと思っています。そうした反省と意欲の一断面を、作品を通して理解して頂ければと思います。

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