アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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長谷川 逸子 - 公共建築と都市
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東西アスファルト事業協同組合講演会

公共建築と都市

長谷川 逸子ITSUKO HASEGAWA


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建物もひとつのソフトである

公共の場として、その専門ホールはどのような意味をもつのだろうと考え、もう一方で市民が自由に使える野外のパフォーミング・アート・センターのようなものをどう用意するかにも悩みました。これだけのパフォーミング・アート・センターをつくるからには、もっと積極的に利用される場所をつくりたいという思いが募っていました。丘でもある大きな卵型の浮島の上は屋上庭園になっていて、回りに小さな島々を流れのようにひきつれている、というイメージが最初にありました。

建物の中には、二干人ほどのコンサートホール、九百人ほどのシアター、四百人ほどの能楽堂、演劇リハーサル室、音楽リハーサル室、練習室、市民ギャラリー、レストラン、ティールーム、屋上ラウンジなどが入っています。

新潟も潤いのある風景は郊外にあって、市街地はどこかわからないほど地方都市独特のたくさんのビルが建っています。ここは地盤の悪い埋め立て地であるために、富山のように植物が豊かに育たなかったこともあって、緑の少ない町です。私が浮島に見立ててつくったグリーンは、都市の中に庭園をつくっていくように考えられないか。特に大きな都市計画の中では、道路にはもちろん植栽はされているんですが、植込み幅が少なく、排気ガスで植物がいたんでいるのをよく見ます。ベルト状にグリーンをつくっていくのがたいへんな都市では、小さな空き地にこうした浮島のような原っぱをつくっていくことが可能だと思うときに、郡市の環境をつくり、グリーンを広めていくことの手法にもしたいと考えて提案しているところがありました。

オペラ歌手の貴族の奥様のためにつくった「グランドボーン」というイギリスのオペラハウスが何年か前につくり直され、そのオープニングに偶然招待を受けて行きました。多くの人たちは、高級車にたくさんの衣装と食べ物を乗せて、朝ロンドンを出発します。一日がかりです。館のイングリッシュ・ガーデンにはコーナーがたくさんあって、昼はみんなドレスアップして、まるで印象派の絵のごとくおいしいものを食べながらしゃべっていました。それからオペラが始まって、早々と着替えてディナーがあって、ディナーの後も外でまた会話を楽しむといった様子でした。庭園がオペラハウスといっしょにあるわけです。

日本はイギリスよりもよい気候です。新潟も冬は寒いですけれども夏のはじめ頃は東京より過ごしやすいよい季節です。そういう季節には、オペラやコンサートのビフォアやアフターのケアもできればと頭の中にありました。単にぱっと行ってぱっと見て帰るのではなく、町の人たちの生活のシステムの中にある場所にするためには、いろいろな仕掛けがいるのではないかと思いました。ピクニックを楽しんだあとに子供劇場を見るとか、屋外でもワークショップをしてみるとか、野外で伝統の綾子舞を見るとか、そういうことをすることによって、普通の生活の人たちの中に芸術や文化が入っていくのではないかと考えました。

共通ロビーはいつも開かれていて多様なイベントが展開しており、町の一角のように公演に来た人たちが横断していく。共通ロビーがないと、冬でもウェイティングは外になってしまいます。開場と同時に入るとすぐに始まって、終わると飛んで帰ります。人に会うとかあいさつをする暇もないという運営が日本では多いのです。私はここでは、自分の考えている運営の仕方についても、市民の人たちに伝えていかなければいけないと思いました。それは同時に自分の考えたものをよりよく使ってもらうためです。

私は建物も一つのソフトであると説明しました。三つの建物に分散して建てない理由は、音楽、演劇、伝統芸をする人たちが会うことなくばらばらの建物に行く、それを観賞する人たちも会うことがなくばらばらでいるというのではなく、人がさまざまな場面で出会うことによって、コラポレーション、クロスオーバーが可能になるからです。伝統芸の人たちとオペラ歌手が競演するなどは、現在さまざまに行われているのです。そうしたことがスムーズに進んで、ここでの出会いの中で新しい芸術が新潟に生まれることがあって然るべきだし、そうした出会いがあることによって世界から来る人たちに新潟の伝統を知ってもらうことができます。

そんなことから、私はこの公共ホールの中でコラボレーションをテーマに新しいパフォーマンスが起こる期待を込めて一つの建物にまとめました。オープニング企画を見て、コラボレーションは公共ホールのテーマになると知りました。

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