アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

マークアップリンク
トップ
私の建築手法
西澤立衛 - 自作について
HOUSE A
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986

2007 東西アスファルト事業協同組合講演会

自作について

西澤 立衛RYUEI NISHIZAWA

西澤立衛-近影

«前のページへ最初のページへ次のページへ»
HOUSE A
「HOUSE A」模型
「HOUSE A」模型

これはその次にやった「HOUSE A」という専用住宅です。

都心のすごく密集した住宅地の中に建っています。「森山邸」をやって庭というものが、特にプライベートな住宅の場合、自分たちの生活を豊かにする何かがあると思って興味をもちました。このあとお見せするプロジェクトも庭をテーマにしています。庭がもっている透明感や多様性、明るさみたいなものを全体的に感じられるような建物はないのかなと思っていました。

ここはすごく細長い敷地なので、外に庭をつくりづらいというのもありました。敷地は南北方向に長く、東西は隣地の木造の住宅が、ぎりぎりまで迫っている状態です。採光を考えて部屋をずらして並べていく案をつくりました。そうすると全部の部屋に直射日光が入って、明るい空間ができると考えました。高さもバラバラにしています。南側からに限らず、いろんなところから光を入れています。

広さ・高さの異なる箱がズレながら連続する
広さ・高さの異なる箱がズレながら連続する

あとは全体の連続感、雰囲気を大切にしながらも、一部屋一部屋の快適性というのを独立して考えるために、一個一個のヴォリュームが違った大きさでもよいというルールにして、異なるヴォリュームが数珠つなぎでつながっていくような構成を考えました。ヴォリュームがずれているのがわかると思います。その、ずれている部分から光が入ってきます。全体として朝日に満たされるような、外なのか中なのかどっちなのかわからないような空間をつくろうとしています。

これは逆側から見たところです。空間の雰囲気だけではなくて、実際、使い方も庭のような場所になるように、洗濯機を置いたり排水設備とかをつくったり、植物を並べられるようにトップライトを使って上から光を入れて植物が育つような環境にしています。

これはぺルシャ絨毯ですが、リビングのような、もしくは草原のピクニックのような感じです。屋根がダーッと開きます。壁で囲まれているけれど、屋根をあけると空がバーンと見えて、風がゆっくり流れはじめて、植物が動きはじめる。まるで外のような感じになります。透明な開放感というのか、空間としての魅力につながる透明感、そういうものをつくろうとしました。ヴォリュームをシフトさせているので、庭みたいなものができて、そこにも植物が置かれる。中も外もないという感じになってきて、中と外が連続していく空間になっています。

一番大きな「屋根の開く部屋」
一番大きな「屋根の開く部屋」
バスリビング
バスリビング

これは真ん中の一番大きい「屋根の開く部屋」ですが、その先にダイニングキッチンがあって、さらにその奥にドレッシングルームがあります。前面道路はプライベートな車が入れないところなので、徐々に自分の領域を拡大していって、どこが道路かわからない、中も外も植物がいっぱい置かれているのは「森山邸」と一緒です。これがダイニングキッチンです。天井高が隣の部屋とずれていて、そのずれたところからも採光するというところです。平屋ですが、天井高を高くして光が上から落ちてくるような形にしています。これはお風呂です。あまりにあけっぴろげですが、お風呂に入る時はカーテンを閉じます。お風呂に入るといっても身体を石鹸で洗ったりするだけではなくて、もっといろんなことを人びとはするわけですね。ドライヤーで髪の毛を乾かしたり、マニキュアを塗ったり、音楽を聴いたりとか。一定時間以上、ここに滞在します。そういう意味では「浴室」といってもいわば「リビング」のようなものなので、入浴時以外も滞在したく感じるような気持ちのよいバスルーム空間をつくろうとしました。

「滞在する」という意味では、お風呂もダイニングキッチンもみんなリビングルームみたいなものです。置かれる家具が違うだけで、人聞が滞在したいという気持ちを感じる部屋という意味ではどれも「滞在空間」というリビングルームとして考えています。五種類の異なるリビングを並べているというコンセプトです。普通のお風呂回りでは物は置きづらいけれども、浴室が居間っぽければ物が置けると考えました。

ダイニングキッチンより見る布で囲まれた柔らかな空間
[左] ダイニングキッチンより見る
[右] 布で囲まれた柔らかな空間

あとひとつやろうとしたのは、インテリアです。ミース・ファン・デル・ローエのソファや大橋晃朗さんの椅子など、なるべくいろいろな文化のものを取り入れようとしています。いろいろなものが集められているけれどゴミ箱のように汚くない、現代的で魅力のある風景にしたいと思いました。現代というのは、和風とかフランス風とか一種類のスタイルだけでつくることは難しい時代です。僕らの身の回りを見るとiPodはアメリカのものだけど、テーブルは日本のものだったりする。ケータイは韓国製です。そういう雑多なものを集めて魅力のある住空間をつくりたいと思いました。もちろん、これはクライアントと話し合いながらつくっています。

各部屋は半透明の布で仕切られている
各部屋は半透明の布で仕切られている

違う大きさの部屋が並び、別々ながらも連続している感じをつくろうと思っていろいろ考えた結果、各部屋を半透明の布で仕切りました。向こうまで見えるような、でもなんとなくプライバシーは保たれているようなという感じを、インテリアを使いながら建築の形をつくろうとしています。

 1階平面 縮尺1/200
1階平面 縮尺1/200
«前のページへ最初のページへ次のページへ»