アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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内藤 廣 - 3.11以降の建築
天災は忘れた頃にやってくる
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2014 東西アスファルト事業協同組合講演会

3.11以降の建築

内藤 廣NAITO HIROSHI


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天災は忘れた頃にやってくる

この2、3年で何度か読み返しているのが、物理学者であり、随筆家である寺田寅彦(1978〜1935年)が1923年の関東大震災の時に被災の調査をしながら書いた記録です。その中に、皆さんもご存知の「天災は忘れた頃にやってくる」という言葉があります。人間の人生のサイクルと災害の周期が合っていない、だからみんな忘れるのだ、忘れてしまうから同じことが起きるのだ、ということです。ただ、ここで私はもうひとつ付け加えたいと思っています。

内藤氏が描いた日本で起こりうる災害。
内藤氏が描いた日本で起こりうる災害。

残念ながらわが国は、さまざまな災害に見舞われます。津波だけじゃありません。津波だと思ってると高潮があったり、長野県・御嶽山噴火のような火山災害もあります。怖いのは地震だけではないのですね。1707年の宝永地震[注2]の時には、その49日後に発生した宝永の大噴火がついて回ります。それから、869年の貞観地震[注3]の時は、その5年前の864年に貞観の大噴火が発生している。大地震と富士山の噴火というのはペアで生じる可能性が高く、これから十分に注意する必要があると思います。また、広島市で起きた深層崩壊といういわゆる崖崩れや、竜巻も挙げられます。他にはサイバーテロも考えられますね。バイオハザードやケミカルハザードについては、誰も指摘しないのですが、私は気になっています。つまり何が言いたいのかというと、天災は忘れた頃にやってくるのだけど、見えているひとつのことばかりに関心を向けていると、思わぬ方角から災害がやってくるんだということなのです。


[注2] 1707年(宝永4年)に東海道沖から南海道沖を震源域として発生した巨大地震。地震および津波によって、合計で少なくとも死者2万人の被害が出た。

[注3] 869年(貞観11年)に、陸奥国東方沖(日本海溝付近)の海底を震源域として発生したと推定されている巨大地震。マグニチュード8.3以上、津波による被害も甚大だったとされている。

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