アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
北東から見る
2階からカフェラウンジを見下ろす
1階カフェラウンジを見る
妹島これは、東京郊外の小平市にある図書館と公民館を複合させた「なかまちテラス 小平市立仲町公民館・仲町図書館(2004年)」です。既存の3階建ての図書館と、そこから徒歩1~2分のところにある小さな集会所を複合させる計画です。敷地は青梅街道に面しており、交通量は多いですが、周辺には畑や古民家がぱらぱらと残っていて、穏やかな広がりのある、あまり建て込んでいない地域です。この場所で敷地いっぱいに建物を設計してしまうと、街に合わない巨大なボリューム感になると思い、いくつかのボリュームが分離したりまとまったりというような、周りとさまざまな関係を持つかたちを考えて、街に馴染むようなものを目指しました。エントランスや元の公民館にあった調理室、工芸室は、外に近い方が、地域の人も自然に参加できてよいだろうということで、1階部分では分棟にして、独立的な配置としています。また、地域の方とのワークショップから、読書ラウンジにある雑誌などは飲み物を飲みながら眺めたいという要望があったので、1階にカフェラウンジを設置しました。分棟形式の1階部分が、2階の読書ラウンジと講座室、さらに3階の読書ラウンジと、上階にいくに従ってひとつに繋がり、空間のかたちがさまざまに変わっていきます。その他の、ダンスやカラオケ等で使用する比較的大きな音を伴うホールやおはなし室は、光庭と共に地下に配しました。
3階平面
2階平面
「なかまちテラス 小平市立仲町公民館・仲町図書館」1階平面 縮尺1/800
小さな建物ですが、かたちは単純でなく、構造も複雑なものとなりました。というのも、それまで私が手掛けたプロジェクトはほとんどの場合、大きく平らな屋根が全体をまとめていたのですが、今回のプロジェクトでは、屋根を平らにしてしまうと、建物が全体として大きな一個になり一体性が強くなってしまい、街と内部とが切り離されてしまいそうに感じました。そこで、ボリュームを分けてそれぞれに屋根の高さをずらしました。室内では、天井高が変わってくるので、それぞれの場所に変化が生まれています。また、建物全体をエキスパンドメタルで包み、各ボリュームは分けられているような繋がっているような、どちらとも言えるようなかたちになっています。1階部分では分棟になっているので、棟ごとに自由にアクセスできるようになっています。人びとが自由に出たり入ったりできる、さまざまな方向に開かれた建物です。地域の人が自然に、自由に集まれるような建物になればと思っています。