アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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小嶋一浩 - 越境的思考の可能性
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2004 東西アスファルト事業協同組合講演会

越境的思考の可能性

小嶋一浩KAZUHIRO KOJIMA


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天津のハウジングプロジェクトです。山本理顕さんと塚本由晴さんと西沢立衛さんと宇野求さんと僕の5つのチームが参加しています。塩田の跡地23ヘクタールの敷地に、戸建てとアパートメントで約300戸の分譲住宅を設計するというプロジェクトです。1チームが6タイプだから計約30タイプを同時に設計していくことになります。

もっとも大きなもので、延床面積が600平方メートルあります。この広さになると、僕らが普段住んでいる住宅の大きさとまったく違うので、どう使っていいのかわからなくて最初は戸惑いました。でも慣れてしまうと、設計をしていてもすぐに800平方メートルぐらいの大きさになってしまいます。広い面積に慣れるのは簡単ですね。

中国では土地の個人所有がありませんので、人は外部から簡単に入っていくことができます。門やフェンスをつくってはいけないため、窓を開けると、そこに知らない人がいるなどということがあります。ですから、プライベートな庭をどこにつくるかということが共通のテーマになりました。ここでは一階の屋根の屋上部分がプライベートな庭になっているものをつくりました。二階の面積を小さくして、三階の多くの部分をキャンティレバーで張り出すようにしてやることで、

一階上部にできる外部空間の面積を増やしています。地面に接する階でも、庭とその周囲の間に段差をつけ、領域感をつくるようにしています。日本の住宅地のように、先に土地があってそこに家が建つのではありません。その点がまったく違うので、思考の順番がひっくり返ります。面白いけれど日本のやり方に慣れ過ぎていると難しいかもしれません。敷地境界がなくて、建物同士の距離は法律で決まってきます。個室をそれぞれで空中にもち上げている住宅では、階段室が四つもできてしまうので、階段室をどう魅力的にするかを考えながら設計しています。

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