アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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私の建築手法
古谷誠章 - カルロ・スカルパ考
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2005 東西アスファルト事業協同組合講演会

カルロ・スカルパ考

古谷誠章NOBUAKI FURUYA


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パラッツオ・アバテリス
パラッツオ・アバテリス
パラッツオ・アバテリス

1954年、シチリアのパレルモに「パラッツオ・アバテリス」という美術館をつくりました。実現した建物としては初期の作品になります。第二次世界大戦中に爆撃され、瓦礫になっていた建物を修復して州立美術館にしています。実際にはスカルパが瓦礫から紐み立て直したわけではなく、地元の人たちによって既に建物の形には修復され、最後の展示計画を依頼されたようです。ロの字型のプランで真ん中に回廊と中庭があります。ここには展示物と共に、換気の窓や出入りの扉などの建築的要素が同じルールで存在しています。窓は修復されたところ以外は漆喰で塗り固められているので、一枚一枚が額縁のように見えます。白い壁に古い窓を展示しているように見えます。展示物もレリーフのように埋め込んであって区別がありません。

ここでスカルパは、考古学的な展示物も、爆撃された建築物の要素も、空間も全部混ぜ合わせて、完全に一体にはしないでふんわりと集めてひとつの空間をつくっています。ベネチア建築大学のセルジオ・ポラーノという歴史家は「シチリアン・フラグメンツ」という論文で「展示物のかけらも建築のかけらも、みんなかけらを寄せ集めて組み立てて、ふわっと置いている」と表現しています。回廊にアラブの碑文が埋め込まれているベンチがありますが、これは展示物でありながら家具でもあるので区別がなくなっています。かけら同士が組み合わさっている状態です。爆撃された建物と考古展示物のかけらを繋ぎ止めてひとつの世界をつくろうとする時に、同じルールで順序通り並べるのではなく、それぞれの個牲を見極めながら寄せ集めて全体のまとまりをつくっています。これがスカルパの神髄だと思います。

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