アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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阪田 誠造 - 身体性美学の建築
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東西アスファルト事業協同組合講演会

身体性美学の建築

阪田 誠造SEIZO SAKATA


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最近作から
世田谷区北沢タウンホール
世田谷区北沢タウンホール

いま東京・乃木坂のギャラリー間というところで私たちの事務所の展覧会をやっております。30センチ角の角柱の中に、私たちの仕事の全容を示すということで、それぞれ担当者がテーマを決めてデザインした模型を展示しております。皆んな忙しいですから、こういうことにあまり時間をかけられないんではないかと危惧していたんですが、やはりやっておりますうちに感性の競争みたいになってきまして、学生アルバイトにやらせるどころか、結局、所員自らが乗り出して自分たちで日曜とか休日や夜間を使ってオープン間際まで競争状態でつくり上げました。

ここに展示しております作品は、でき上がったものもありますし、工事中のものも、また現在設計中のものもあります。最初は30個の予定でしたが、結局二四個になりましたが、全部手づくりの模型です。ギャラリーの外のテラスにも展示しており、雨が降ると割れてくるのを手直ししたりしております。お互いに隣は何をやっているかを見ながらつくりました。ひとつだけ違反して色のついたのがありますが、模型は30センチの角柱に納めて全部白くするということだけ決めました。建物の一部を見せたり、ディテールを見せたり、地盤の中まで見えるように切ってみせたりと、いろいろ建物の見せたいところを模型にしたものの展示です。

次は「日立シビックセンター」です。11月に竣工したばかりです。日立駅前にあり、手前に商工会館があります。これはコンペで選ばれたものですが、このコンペは都市計画家の林泰義さんがコーディネートされたもので、都市の中心をつくるというコンセプトが非常にはっきりしていたので、それに基づいてやっております。科学博物館、プラネタリウムのあるスペースシアター、音楽堂があります。その下に図書館もあり、さらに老人福祉関係の施設とか婦人センターといったものが入り、たいへん多くの要素を複合した建物になっています。

日立市は人口役20万人の都市ですが、周辺には豊かな緑が広がる田園地帯の中の工業都市です。そこで私たちは、これらの施設の集合体をひとつの大きな建物にしないで、それぞれが自立した中でお互いに面白いところをつくり出していこうという考えで設計しました。

音楽堂は一部コンクリート打ち放しですが、基本的には外壁はタイル貼りの建物です。ラスタータイルと練り込みのタイルで、筋があるのとないものを使い分け、その模様が天気や時間によってさまざまに見えるようにしております。

科学博物館の部分にスペースシアターが付属し、それをシンボリックに扱っています。広場の南側に建つ建物なので、南の陽光を広場に導くために大スパンを持ち上げて巨大な穴を開けています。構造的には大スパンです。さらに球体がキャンティレバーになっているところもあります。非常に高いところにありますから、後々あまりメンテが必要にならないようにということで、鉄骨で本体をつくり防水のこともあり、鉄板で一度全部覆った上にチタンの三角形のパネルで仕上げております。

日立シビックセンター
日立シビックセンター
内部
内部

音楽堂に面して上がっていきますと、南向きのテラスがいっぱいあります。福祉施設部分だとか婦人センター部分など、いろいろ介在させながら部分を自立させて、同時にそれらが融合するように計画しました。お互いに見えると同時に独自の世界もつくり出すということです。

北側には広場があります。それぞれの建物が屋上の庭園や階段やエレベーターやアトリウムといったものを介してつながっています。それぞれの部分が視覚的に独立しながら、ひとつの建築としてつながった新しいフォルムをつくり出せないかということをトライした作品です。

次は「世田谷区北沢タウンホール」です。

世田谷区というのは東京の中でも非常に大きな区で、100万人近い人口があります。地域も広いので、地域行政制度として五つの区分をして、行政のサテライトをその中心につくるという構想の最初の施設です。行政のいろんなサービスや手続きができる庁舎の窓口と、同時に区民が利用する会議室とか婦人センターとか、交流を深めていける施設、さらに下北沢というのは演劇の街で、本多劇場などがあり、既成の演劇集団や劇場にない、小劇場や演劇集団が実験的なものをいろいろやっている拠点なんです。その特性を生かして、このタウンホールでも若い人たちと交流を深めていけるような公共の場をつくろうという意図もありました。ですから、多用途ホールとして200人ぐらいが入れる平土間式のホールも併設しています。

敷地は、区の土地だけでなく、小田急バスの折り返し点になっている場所を抱き込み、一体の計画としてつくっております。東京のように高密度な都市空間における建築というのはこれからの大きな課題であるわけです。いままでのように、ただ単に箱の中に何もかも詰め込んでしまうということでなく、下北沢という土地に合わせ、下北沢周辺には大きな建物はなく小さな建物が集合して街を形成しておりますから、それに合わせてつくっていくことにしました。

この辺は非常に狭い道がたくさんあります。そこで建物は塔状にして、いくつかの建物の集合に見せるという手法を使いました。仕上げはタイル貼りとアルミとコンクリート打ち放しを使い分けております。

実は隣に安藤忠雄さん設計の病院がコンクリート打ち放しで建っています。ですから、これに敬意を表してその部分は壁面を揃えてコンクリートにしているわけです。屋上庭園をつくって、病院のほうにも光が入るようにといった配慮もしています。全体としては、いくつかの建物が集合して、ひとつの巨大な建物に見せない工夫で、下北沢の街に合ったものを表現してみたつもりです。

外気が入る外部空間を建物の中に取り込んでおります。つまり広場を内包しております。ここを中心にしてホールのロビーとか、一階の小田急バスの折り返し場とか、店舗などにつながります。それから行政センターの窓口部分もこの広場に面しております。表の通りからはこの広場がスリットを通して見えます。サンクンガーデンですが、太陽も外気も入ってきます。風が吹くと雨も中に入るわけです。本来ならば、これぐらいの施設になると広場が必要なんですが、それがとれないということで、広場であれば屋根をかけなくていいんですよ、と説得して何とか了承してもらってつくりました。マイナスのことばかりではありませんでした。避難計画では大いに役立っております。

外部のデザインはいろいろな仕上げを使い分けることで、建物をできるだけ大きく見せないようにしております。ホール本体の外壁はタイル貼りですが、ラスタータイルを使って細かい模様をつけ、さらに被いとしてのコンクリート有孔壁をめぐらせたりして、小さく見せるようにしています。

以上で終わります。どうも長時間ありがとうございました。

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