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東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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板垣 元彬 - 和風の空間と手法
私自身の数寄屋の手法を求めて
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東西アスファルト事業協同組合講演会

和風の空間と手法

板垣 元彬MOTOYOSHI ITAGAKI


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私自身の数寄屋の手法を求めて

こんなふうに折々に数寄屋のことを考えながら、仕事をしているわけですが、私自身の和風との関わりやデザインについて少し触れてみたいと思います。

私が和風に触れるようになったのは、学校を出て、吉田五十八研究室で働くようになってからのことです。いわゆる現代和風とか近代数寄屋とか呼ばれる仕事によって和風の世界に芦を踏み入れました。数百年の歴史のある数寄屋のいちばん終わりの部分から始めたわけです。10年余りを、吉田五十八の下で過ごしましたから、随分大きな影響を受けているはずです。しかし自分で仕事を始めるようになってからは、現代的な和風をさらに先に進めたいという気持ちと、もう一方では、それとは一歩距離をおいて、もっと古典的な数寄屋の手法にも触れてみたいという興味も湧いてきました。

そして、今日スライドで見ていただく北山山荘のような実際の仕事を通して、自分で試み、体験する機会にも恵まれました。近代数寄屋を体験したことによって、伝統的数寄屋の空間や手法に対する関心がいっそう強くなり、伝統的なデザインの手法や素材の取り合わせを直接体験してみたかったのだと思います。

話の順序が逆になったようですが、私が和風の建築を設計する際にまず念頭におくことは、建築の形態と、その建築を取り巻く外部空間との関係です。アプローチや庭園との関係です。これらの外部空間はそのまま建築の内部空間へとつながるものですから、きわめて重要なものです。建築の外部空間は、内部空間と同等の密度と質をもつべきものと考えています。ですから、庭園やアプローチのために、建築の形態や配置が大きな影響を受けることもあり得るのです。特に数寄屋風の建築と庭園の密接な関係を考えるとき、敷地全体のプランニングを考えることは、必要不可欠なことであろうと思います。数寄屋ほど庭園とすばらしい関係をつくり出した建築は他にありません。

私もこういう建築と庭の関係は大好きですので、機会ある度に試みたいと思っていますし、両者の関係は尊重していきたいと考えています。その一方では、数寄屋は庭園なしでは一人歩きできないような建築ではないかという、不満にも似た思いが時折頭をかすめ、一度両者の関係を見直してみてもよいのではないかと思っています。

次に、和風の建築の形態や内部空間を考えるときに、内部空間と外部空間の連続性、空間の流動性、空間の重なり、軽快で簡素なデザインによる豊かな空間など、和風建築の特質が重要なテーマになるのですが、もう一つ、私がデザインの手掛かりの一つと考えているリズムについて話をしてみたいと思います。

数寄屋という建築は、規則性に乏しい建築です。全体の構成から細部にいたるまで、数寄屋のデザインに見られる不規則性を、変化に富んだデザインとみることができるのではないかと考えています。空間の流動性、部材寸法の強弱、あるいは軽さ重さといった変化があらゆる部分に読みとれる建築ですから、それらの間に一つのリズムをつくり出すことができれば、数寄屋のデザインの一つのポイントになり得ると考えています。その基本は柱の建て方、すなわちプランニングの段階における柱の配置や密度にあります。これが数寄屋建築のリズムの底流になるものと思います。規則正しいリズムとは対照的な面白さです。こんなことを常に意識の片隅においてデザインをしているようです。

それではスライドを見ていただきたいと思います。

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