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東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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内藤 廣 - 空間から時間ヘ — 時・時間・時代への眼差し
空間的価値から時間的価値ヘ
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東西アスファルト事業協同組合講演会

空間から時間ヘ — 時・時間・時代への眼差し

内藤 廣HIROSHI NAITO


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空間的価値から時間的価値ヘ

現在、日本国内では都市再生の名の下にいくつかの大規模な都市再開発が行われています。これに関しても、本当にこれでいいのか、ということを考えなくてはいけないのではないでしょうか。不良債権を処理して、バルクセールで売って、その上に短期のマネージングをやって、不動産価値を積み上げ、売り抜く。それはそれでバランスシート上、成り立つかもしれません。けれども建築家や都市計画家はもっと図太く、長い目で見た時に本当に人のためになるかどうかを考えなくてはなりません。あなた方は、普通の人たちの側に立って見ていますか、将来も自分のやったことに誇りをもてますか、と問わなくてはいけないと思っています。確かに発注元は官庁だったり企業だったりします。しかし、最後には一般の人の側に立たないと建築家は生き延びられないと思うのです。普通の人の目線でどう見えるかということを常に念頭に置く必要があると思います。

マネーゲームというのは時間価値を問わないのものです。そのことを覚えておいて下さい。つまりこれは、売り抜けたり、不動産を流動資産にするという、非常に短期の価値に対応しているもので、時間を考えるのはやめようというものです。そこにどんな時間が積み上がってきたか、これからどんな時間が生まれるかは一切問いません。建築家は、このことをもう一度よく考えるべきだろうと思います。講演のタイトルである「空間価値から時間価値へ」は、つまりこのことなのです。

品川、汐留、六本木六丁目、防衛庁跡地。これらの計画の関係者と話をすることがありますが、その時、僕は、本当にあなたたちそんなことでいいのですかといいます。

よくよく考えた方がいいと。空間価値の捏造、それは結局バブルと同じです。バブルの時もそうでした。土地の価値を捏造して、そこにみんな群れたわけです。

10年後に、今建ち並ぶ超高層は失敗に終わったという結果が出るのではないかと僕は予想をしています。ちなみに、こんなにたくさんのフロアをどうするんですかと不動産会社の役員の方に開くと、「内藤さん心配ありません。こういうのはみんなマーケットを引き剥がしてくるんです」というのです。つまり、今、東京で始まっているのは、面的に広がる低層部の空洞化です。おそらく何年か後には、きわめて深刻な低層部の空洞化状態が生まれてきます。それにも建築家は声を上げなくてはいけません。建築家がやることはたくさんあるのです。魅力的な低層密集型の街区を、建築家は提案しなくてはならないのです。そちらに魅力があれば、超高層は負けます。今のままでは空洞化された低層部と集中的に立ち上がった超高層からなる都市しか生まれないということも考えた方がいいでしょう。その時の考えるツールとして、やはり空間価値だけで勝負をすると低層密集型は敗色濃厚なわけです。勝つためには、彼らが見落としているものを見つけることです。それは何かというと、僕は場所の時間価値、本当に誇りをもってその場所に住めるかどうかという価値、そういうものだと思います。それは、見栄えのつまらないものかもしれません。しかし、つまらなくてもその方がいいと僕は思っています。

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