アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
そういうものが向こうに見えながら近くにはものすごいディテールのあるものがありまして、これが部分模型、「未完結なオブジェ」と呼んでいるものですが、これは今のプロジェクトとして進んでいるものの部分を取り出して模型にしているものです。
全体といものがもう信じられない時代だというふうにいいましたが、部分、人間が知覚できる範囲、局所に関しては僕は責任がとれると思っています。そこに空間をつくり上げることだ。それらが連続していくそのシンタックスについてはさまざまな要因でいろいろに決まってくるものじゃないか。そこに何かこちらである方法にもとづいてインパクトが与えられればせめてもの幸いで、ほとんどの場合そういうことがあり得ないと思っていますので、断片に思いを込めて輝きを見いだしていくというのが、方法としては有効じゃないかと思います。これなんかがたとえばOXYとかD-HOTELを最初に構想したときにつくったコンセプトモデルです。
これは上から見ると正方形と円とが貫入しているんですけれども、正方形というのは完成した形、無限に増殖可能で無限に分割可能である。
円は完結した形でこれ以上何も付け加えられなければ、そのままの形では分割することも不可能である。そのような円とか正方形が交差する部分に生まれる形を、ある思いを込めて未完結なオブジェと呼んで、これを建築化したのがOXYとかD-HOTELです。ただその中に完結を望むキューブがちょっと傾いている。完結を最初から拒否するということではなくて、やはり完結したもの、全体像、心を合わせたいということに対する憧れはみんながあるわけで、その意味ではみんながファシストになる可能性は高いのですけれども、それと同時にそれは禁じられていて現在のさまざまな状態の中で断片化した人生を余儀なくされている。これはだから方法論だけではなくて、われわれの生き方自体が昔のようにひとりが特別な全体をもったような生き方をするということはほとんど許されないような状態であるという認識にもとづいた話でして、そういったところがおそらく建築にも現われざるを得ない。だからそれを表現しようというよりも、そういう状態を考え尽くしていくとこういう形になったということの方が正しいかもしれないですが。完結した形である円の一部を使うことによって完結したものへの憧れと断念を共に現わそうというようなことがこのモデルをつくったときに考えていたことです。
これはプロジェクトの一次案、二次案、それからもっとコンセプチュアルなものです。これもあるプロジェクトの一次案です。題してマンハッタン・トランスプランテーション。マンハッタンはモダンのスカイスクレーパーもあればポストモダンのスカイスクレーパーもあればアール・デコのもあり、それらが共存する世界である。これは西新宿のディベロッパーの本社ビルとして計画されたものですが、そこの敷地にプログラムがいくつか複合した要素があったものですから、それぞれに異なった形態を与えていって、ヘテロジニアスな世界、不連続なものが連続している世界をここに現わしてみたい。これは先週実施設計がすべて終わりましたキラー通り沿いの建物のコンセプトモデルです。
これも未完結なものが不連続的に連続しているというようなことを形にしてみたもので、これも実現の可能性がないとはいえないと思うのですが甚だ希薄な、ある地方中心都市の駅の再開発プロジェクトです。実際にここがホテルであるとか映画館であるとかのプログラムはちゃんと抑えてあるのですが、駅を公園あるいは遊園地にしてしまおうということで、観覧車やケーブルカーを取り込んで取りあえずアイデアをまとめたものです。