アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
福岡市が博多駅周辺で進めている再開発計画「博多コネクティッド」のエリア内で、福岡・博多駅前にあった磯崎新(1931〜2022年)さん設計の「福岡相互銀行本店(現・西日本シティ銀行本店本館、1971年)」の建物が解体されて、今新しい建物が建設中ですが、その1本裏に明治公園という公園があります。その公園を生かしながら、さらに活性化しようというPark-PFI事業の公募が昨年あり、東京建物さんをはじめとする事業体を組んで応募して、選定いただきました。博多駅前という地価が高い場所なので、一般論として建築を建てる時は、いくつもの層にして床を増やしていきます。公園の場合も、これだけ都心部の貴重な公共空間であるので、立体化して人が活動できるスペースをより増やし、多様に豊かにしていくことがこれからの都市公園のあり方ではないだろうかと考えました。
Park-PFI事業とは、民間施設の収益で公園施設の整備を行うことを条件に、飲食店や売店の設置と運営を行う事業者を公募する制度です。そのため明治公園にも商業店舗が入る建築があり、くねくねとしたスロープ状のパスによって公園を立体化し、そのまま外部のテラスも含めて建築に繋がっていきます。建築と公園がパスによって立体的に結び合わされて、建築でもあり、公園でもあり、道のような場所でもある複合的な意味合いの新しい公園をつくり出そうとしています。中央にはグリーンのオープンスペースがあります。周りに立体的に層になったパスが流れているので、中央でイベントがあると、上の方のパスを客席として屋外劇場的にも使えます。パスは3階レベルでひと繋がりのスロープになっています。地上からもバリアフリーで上がれるようになっているので、いろんなかたちでこの場所を使っていただけると考えています。グリーンの中に建築や道を差し込んでいく「House of Music」と「太宰府天満宮 仮殿」が複合したような場所になっています。さらに今は裏道のような軸線ですが、博多コネクティッドの一環である「博多駅空中都市プロジェクト」により、地上、中間階、屋上に賑わいや視線の抜けが生まれ、博多駅のもうひとつのメインのスペースができるそうなので、都市的な視点でその軸線を強調しようという意図もあります。
自然と建築、建築と公園、建築と都市、あるいは道と建築といったものの境界を溶かしていくと、人が活動する場所という意味では、建築も都市もランドスケープも公園も道も広場も原っぱも、全部同じように扱うことができます。それを複合させることによって、今まで別々に扱っていたものが融合して、よりさまざまな意味合いと使い方ができる場所になるという期待を込めています。
福岡市「明治公園整備・管理運営事業」施設配置イメージ
商業施設と5つのにわを整備する
俯瞰イメージ
写真右奥が建設中の西日本シティ銀行本店本館
「野々にわ」と「立体回廊」のイメージ
「緑のにわ」からエントランスゲートを見る
立体スロープ「立体回廊」から中央のオープンスペース「野々にわ」を見る
商業店舗が入る施設
屋上は「空のにわ」という広場