アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

マークアップリンク
トップ
私の建築手法
鈴木 エドワード - 見える建築・見えない建築
見えない建築のいくつかのプロジェクト
2022
2021
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986

東西アスファルト事業協同組合講演会

見える建築・見えない建築

鈴木 エドワードEDWARD SUZUKI


«前のページへ最初のページへ次のページへ»
見えない建築のいくつかのプロジェクト
神戸・ゴルフクラブハウス
神戸・ゴルフクラブハウス

これから三つぐらい、見えない、どちらかというと環境の中に染まってあまり存在感を強く表現しないようなプロジェクトをご紹介します。これは神戸のほうで現在計画中のゴルフクラブハウスです。これは回りのパッティンググリーンが屋根のほうにも延長してきまして、ランドスケープの一部としてクラブハウスが多少浮き上がっている。そういうイメージのものを意識したものです。この施設はひとつの提案なんですが、1階にギャラリーを兼ねたマンションが26室ぐらい設けられています。

軽井沢・コンプレックス
軽井沢・コンプレックス

これは軽井沢のほうで計画中のレストランとディスコのコンプレックスです。長さが約105メートル、幅が約18メートルのリニアな形をしている施設ですが、この長手の軸の先端には浅間山がありまして、左側の地下の部分を見られないよう埋めていますが、地下からは浅間山しか見えない、そういうところを狙っています。

これが断面ですが、左がレストラン、右がディスコになります。ここもまた回りの芝生が屋根全体を覆って、ある程度いじられたランドスケープがひとつのオブジェ的な演出を兼ねているわけです。

アーツパークLA
アーツパークLA

最後のプロジェクトになりますが、これは最近ロサンゼルスのほうで行なわれた国際コンペの提出案です。これはアーツパークLAというコンペで一応国際オープンデザインコンペだったのですが、このコンペの特徴は各チームが建築家初めアーチスト、そしてランドスケープアーキテクト、この三社のジョイントベンチャー、要するにチームワークでないといけないというひとつの条件があります。われわれのチームは僕のハーバードの同級生でロスにいる建築家とアーチストとしては韓国の催在銀さんと、造園は草月の家元をなさっている勅使河原宏先生にお願いしてそういうチーム編成で提出したものです。これもアーツパークという60エーカーの公園の中の5つの施設の内のひとつで、1800人と500人収容の大小劇場のコンプレックスなんですが、なるべく公園の自然な田園的な風景を壊さないということをモットーに、またこのような人工的な丘を描いています。また10メートルという高さ制限がありまして一番裏のほうにある高い小山がちょうどその10メートルのリミットにあります。それで他の施設は完全に地下に埋めています。

これは公園全体のセントラル・パークが下のほうに置かれていまして、これもわれわれの勝手な提案なんですがこの中央プラザからプロムナードを経て車のドライブウェイをひとつのシンボリックなゲートウェイとしてくぐりながらサブプラザ、シアターのプラザに入り、そこから上のほうの劇場施設に入っていくと。これらは提出パネルのイメージパネルで、これらの写真や漫画を表現の手段にしてわれわれが採用したいろいろなデザインボキャプラリーを現わしています。

これが全体像ですが、このようにまたすべて全体の公園の延長として芝生が覆って、屋上がこのような庭園になっているわけです。

これはドライブウェイの下をゲートとしてくぐるろころ。ここからシアターのサブプラザを経て向こうにある劇場のブッキングエリアに入るわけです。

これがブッキングエリアなんですが、ここからチケットを買ってあのふたつのチューブを経て現実的な世界から非現実的な世界に徐々に入っていくと。

これは小劇場に入るチューブからの中庭風景です。

これは大劇場のほうのエントランスロビー。ここではロサンゼルスのよき気候をなるべく生かそうということで、もちろん屋根が全体をシェルターしていますけれども、このアーチとアーチが交差して開いたところなどなどはあえてサッシュとガラスを嵌めず、直接太陽が入ったり風通しが利いたり、またはときどき多少の雨も入ってくるような自然をわざと感じさせるような、そういったことを意識しています。

これは地下4階の劇場レベルですが、非常にオープンで開放的な空間構成になっていると思います。こういうふうに地下4階のレベルから空が見えたりグリーンが見えたり、太陽が入ってきたり風を感じたり雨もときどき入ってきたり、そういう自然のエレメントを感じさせるわけですが、まったく地下の雰囲気は感じられないと思います。

これは大劇場のリハーサルシーンですけれども、これらすべてCADにもとづいて起こしているパースですからほとんど立体的なパースのイメージは間違いないと思います。

これは小劇場の中庭のリハーサルシーンです

夜になりますとこのような照明の演出が可能です。今ちょっとCADの話が出たので余談になりますが、実は僕の友達がロサンゼルスで5人で事務所を構えているわけですが、たぶん5人でわれわれ事務所の10人ぐらいの仕事をやっていると思うんですね。なぜかといますと、すべて彼の事務所はCAD化されておりまして、もちろん会社の中でもCADをお使いの皆さんは多いかと思いますが、本当に彼の事務所にいってすごいなと思わされました。特に手直しなんか、本当に楽に簡単にできるんですね。たとえば、われわれが100枚図面を描いたとしたらば、ひとつのディテールのデザインを変えたとすると、100枚のうち何十枚かは全部手を加えないと行けない。そういうことがCADシステムですとひとつを直すことによってすぺての図面が直ってしまう。そういう意味で本当に修正が早いということと、なにしろ図面が早くてきれい。なおかつ今話したような直しがあったとき、特にリピートする直しのときにはもってこいのシステムだと思います。うちも彼とパートナーシップを組んで今後太平洋を挟んで仕事をやっていこうということで2台アメリカからCADを背負って帰ってきたんですが、もう1年ちょっとたちますが残念ながら誰もうちの事務所では、またそれを使えないという状況で、もしこの中でCADをお得意にしている方でCADをお手伝い、またはCAD専門でうちの事務所に入れるような人がいたら是非名乗って来てください。

ということでスライドと話は終わりです。今日はどうもありがとうございました。

«前のページへ最初のページへ次のページへ»