アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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アパートメント I [1]
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2007 東西アスファルト事業協同組合講演会

少しずつ建築のプロジェクトを進めている様子について

乾 久美子KUMIKO INUI

乾久美子-近影

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アパートメント I [1]
「アパートメント I 」外観。五戸が入るワンルームマンション
「アパートメント I 」外観。五戸が入るワンルームマンション

次は今年の春に竣工したアパートです。ぱっと見た時に操作がよくわからないこと、また、定義づけが難しいこと、そのように思えるものに対する興味が前面に出ているプロジェクトです。

場所は、六本木と青山と渋谷と広尾の中間にある住宅街です。敷地は8×6メートルという、とても小さなものでした。その中に20平方メートルの占有面積をもつワンルームアパートを六戸ほど入れたいという条件を与えられました。このきつい条件をクリアするのはどういうものなのか、最初はまったく想像がつきませんでした。なので、とにかく手当たり次第に考えられる方法を試しました。

三層メゾネットを二段積み重ねる案
三層メゾネットを二段積み重ねる案
二層メゾネット二列を三段積み重ねる案
二層メゾネット二列を三段積み重ねる案
二層メゾネット参列を二段積み重ねる案。共用階段がないタイプ
二層メゾネット参列を二段積み重ねる案。共用階段がないタイプ
二層メゾネット参列を二段積み重ねる案。こちらは共用階段があるタイプ
二層メゾネット参列を二段積み重ねる案。こちらは共用階段があるタイプ

敷地面積、容積率、建蔽率だけを考えると簡単に六戸入るのですが、そこに高さ制限、さらに各戸のアクセスまでを考慮に入れて考えると、各戸をメゾネットにする以外に選択肢はありませんでした。たとえば二層のメゾネットを3つ並べて二段にした案です。下のメゾネットの真ん中の人がかなりつらそうでした。

同様にメゾネット×三×二段のもので、共用階段が出てこないタイプ。上のメゾネットに行く階段が、下のメゾネットに出てきます。これは下の人がつらいです。

メゾネット×三×二段の各階で長方形の配置を変えたもの。つらい敷地であるので、その痛み分けをしようとしました。

そしてメゾネット×三×二段の共用階段が出てこないタイプ。

また、メゾネット×三×二段の共用階段が出てこないタイプのバリエーション、敷地に形を合わせたり、気積の大きさで下のメゾネットのつらさをカバーしてみようと思ったものなどが考えられました。

真ん中のユニットがつらいと思ったので、全員を角部屋にして、メゾネット×二×三段としてみたもの。

これは究極で、三層のメゾネットを二段積み上げてみたもの。メゾネット×二×二段です。

いろいろやってみたのですが、やっぱりすべてが妥協の産物にしか見えないものばかりだと思いました。そもそも、階段がこんな小さな敷地の中にたくさん出てくるのがおかしい。これじゃあ全員が階段室の中に住んでいるようなものになってしまう。それは明らかに変だと思いました。

二層メゾネット三列を二段積み重ねた案。下の三戸の条件が悪いので、天井高でカバーしようとした
二層メゾネット三列を二段積み重ねた案。下の三戸の条件が悪いので、天井高でカバーしようとした

メゾネット×五戸。こんな感じで苦しいパターンを出し続けている中に、五戸だけしか入っていないパターンが出てきました。何度もやっているうちに六戸がかなり厳しいということがわかってきて、五戸でクライアントに何とか許してもらえないだろうか、という意見がスタッフから出たわけです。六戸といわれているにもかかわらず、五戸の提案をするなんて無理じゃないか、といったのですが、ものすごく条件はよくなります。

たとえば、高さ制限をチェックしてみると、4・5階の高さまでは建ち上げられることがわかったのですが、六戸が条件である場合には一層一戸の塔状にすることは考えられません。最下階の人が完全な地下になってしまうからです。しかしもし五戸でよいのであれば、最下階の人も半地下ですから、居住性は何とか大丈夫です。すると、狭小のメゾネットというどうしょうもない選択肢から抜け出せる。専用部分に階段さえ出てこなければ、20平方メートルがすべてきちんと使えるから、格段に居住性は上がるわけです。であれば、勇気を出して五戸にする提案をしてみるべきだろうと判断しました。するとクライアントも、20平方メートルでメゾネットにするのは無理がありすぎると思ったのでしょう。五戸で進めてよいと判断してくださいました。しかし、この案でもまだまだ快適であるような気がしませんでした。

そこで、鉄砲階段で階と階をつなぐことを考えてみました。すると各階の到着位置が変わります。なぜなら、断面図で見ればわかるように、到着場所が各階で左右に変化するからです。この変化に可能性を感じたので、さっきと違う方向にも階段の位置をずらすことを考えてみました。すると、階段の位置が階によって全部違うものになることがわかりました。

先ほど高さ制限の話が出ましたが、この建築は基準法上、最大限に得られる体積となっています。平面が5×5メートル、高さが地上から11.5メートル。これ以上絶対にどうしようもない。11.5メートルあれば、階高を2.5メートルに抑えれば、最下階を半地下にして、何とか5戸入れることはできますが、でもかなり苦しい設計です。とにかく空間的マージンなどまったくなく、手も足も出ない状態だと思われたのですが、この鉄砲階段をきっかけとしていろいろなことが緩やかに変化していきました。平面の変化が断面方向にも変化をもたらしたのです。

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