アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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隈 研吾 - 小さな建築
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2012 東西アスファルト事業協同組合講演会

小さな建築

隈 研吾KENGO KUMA


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メム メドウズ
「チセ」というアイヌ民族の住宅
「チセ」というアイヌ民族の住宅。

「メム メドウズ(2011年)」は、北海道の大樹町に、LIXIL財団の要望でつくったエコピレッジの中の実験住宅です。今回ヒントにしたのは、アイヌ民族の笹でつくった「チセ」という住宅です。この住宅は中央にいろりがあって、夏でもいろりをたいて地面を暖めているので、冬も地面が暖かくて快適に過ごせます。このチセを現代の技術でつくろうとしたのが「メム メドウズ」です。二重膜構造で、膜の間を暖かい空気が循環し、部屋を暖めます。また、中央のいろりで地面を暖めます。


「メム メドウズ」外観
「メム メドウズ」外観。北海道広尾郡大樹町の18万m²の競争馬の牧場であった場所に建つ。
「メム メドウズ」リピングダイニング見上げ
「メム メドウズ」リピングダイニング見上げ。壁、天井ともに二重膜構造。

「メム メドウズ」断面詳細 縮尺1/100
「メム メドウズ」断面詳細 縮尺1/100

これが一軒目となり、エコビレッジには毎年一軒ずつにLIXIL財団によって、コンペティションで選定したエコ住宅を建てていきます。私の「メム メドウズ」に続く二軒目、三軒目が、慶應大学と早稲田大学の学生たちのチームでつくられています。慶應大学のチームの住宅は、楽しいエコ住宅です。馬と暮らす家で、暖房の熱源が馬なのです。馬は体温が高く、とても暖かいので、その体温を熱源にして冬を暖かく暮らすという考え方です。ここで問題になるのが、馬の匂いなんです(笑)。どのようにして、馬の匂いをうまく除去しながら馬の体温だけを取って、冬を暖かく暮らすかというのが見どころです。


左:慶應大学チームの住宅「BARN HOUSE」内観/右:「BARN HOUSE」外観
左:慶應大学チームの住宅「BARN HOUSE」内観。馬の体温を熱源としている。
右:「BARN HOUSE」外観。

こういった、エコ住宅が毎年完成し、ひとつの村のようになり、そこでさまざまな大学がワークショップを開き、研究をしようとしていますので、興味のある方はぜひそういうイベントに参加してください。

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