アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
西澤これまでいろいろな大きさの建物を設計していく中で、建築と場所の繋がりや調和、連続性というものを意識するようになりました。同時に、人間がどうやって建物を使うかに興味があります。環境と建築の調和連続性と、人間が使う風景は、どこかでひとつになるのではないかと思い、そのあり方を模索しています。形態的なことだけではなく、時間的なことや人が活動している風景など、いろいろなことが混ざって「環境」と言うのだと思います。
妹島今からちょうど10年ほど前の2004年10月に「金沢21世紀美術館」が完成しました。それまで私たちは、プログラム、つまり内部空間に対してどういう使い方が考えられるか、ということにすごく興味を持っていて、それが外部空間や街にまで繋がっていくことを意識して建築をつくっていました。今日は、その「金沢21世紀美術館」の完成とほぼ同時期にコンペがあった「ROLEX ラーニング センター(2009年)」から話を始めたいと思います。
コンペ案では、「金沢21世紀美術館」の内部空間で水平的に考えたことを、そのまま外へ、街へと繋げていくことを提案しました。でも、中から外に繋げていくだけでは、場所への建築の繋げ方が弱いのではないかと思うようになりました。今でも内部空間にはすごく興味があり、内部空間をどう使うかということは建築の創作の問題として重要だと思っているのですが、同時に、どうすれば建築が本当に「環境」に繋がることができるのかを考えながら、試行錯誤を続けています。