アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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長谷川 逸子 - コミュニケーションが開く建築シーン
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コミュニケーションが開く建築シーン

長谷川 逸子ITSUKO HASEGAWA


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地形としての建築

最初に設計した公共建築は「藤沢市湘南台文化センター」です。どのようにつくっていったらよいかが見えないまま敷地見学にいきました。区画整理の後ほうり出されている風景の中に、その敷地がありました。それは、キャベツ畑とマンションが隣合う不思議な風景でした。私はその敷地でしばらく立ちすくんでしまいました。その空き地でヨモギを摘んでるおばあさんから、「ここは秋になると豊作祭が行われるし、盆踊りもするし、こどもたちの運動会もする空き地だ」と聞きました。多目的に利用してきた空き地をずっと空き地にしておきたいという意味が込められていると感じました。

私が建築に置き換えることで、彼らの活動はどれだけ持続できるだろうと考えました。この原っぱの様子を保持しながら建築ができないかと。帰りの電車の中で、大きなヴォリュームが地下に埋まっているスケッチをはじめていました。スタッフに見せたところ、「これはコンペに勝てないよ、建築がないもの、丘にしかみえないもの」といわれたほど、建物を埋めたてていました。その後、設備の方たちと打ち合わせをしていくうちに小屋根群が並んだ建物が出来上がっていきました。

劇場を原っぱのような様相で持続したい、野外劇場のようにできないか、という思いでスケッチしていたものが「球儀の劇場」となり、プラネタリウム、大気観測所と三つの球儀ができました。それはその場所で考えた原っぱ性の継承でした。自由さのあるガランドウをつくることでした。 そんなに異常なこととは思わずにスケッチを進めていったのですが、コンペに入ってみて改めて不思議な風景を私は提案していることになったと思いました。要求された盛りだくさんの内容とヴォリュームを地上に出すのではなく、地下に埋め込み隣接する公園と馴染み、ほどよいスケールを選定して地上部分に配することが最適と考えました。70パーセントぐらいの、アンダーグラウンド・ビルディング部分は第二の地表としてのサンクンガーデンを四方に設けた快適で落ち着いた空間を生み出しています。

この建築を、「小宇宙を乗せた船」といわれることがあります。この付近にはいくつも丘が見えました。私はその丘のひとつに見えるような建築をつくろうと思い、ルーフ部分を空中庭園とし、「地表としての建築」をコンセプトとしてコンペに応募しました。もう一つは、都市の中で自然を感じ取れるようにしたいということもあり、そのふたつのことが重なってつくられている「第二の自然としての建築」だと説明してきました。パッシブに光と風を取り入れるために小屋根群、貯水池の水を循環させてせせらぎを広場に通し、屋根の上には付近の丘で見られる樹木を植え、グランドレベルは瓦敷きの人工的広場であり、人工と自然の様相が重なり合っているような環境をつくりました。この「湘南台文化センター」は一部公民館が入っていることから、ローカルな生活と密着が強く、地元の人々との意見交換が設計と平行して行われました。そのことで、参加意識をもってもらえたことが、この施設の利用率を高めていると思います。

藤沢市湘南台文化センター
藤沢市湘南台文化センター
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