アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

マークアップリンク
トップ
私の建築手法
槇 文彦 - 近作を語る
マサチューセッツ工科大学 メディアアート・サイエンス研究室
2016
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986

2008 東西アスファルト事業協同組合講演会

近作を語る - 建築のグローバリゼーションの中で考えること

槇 文彦FUMIHIKO MAKI


«前のページへ最初のページへ次のページへ»
マサチューセッツ工科大学 メディアアート・サイエンス研究室
チャールズ河越しに見る「マサチューセッツ工科大学」の全景
チャールズ河越しに見る「マサチューセッツ工科大学」の全景

「マサチューセッツ工科大学 メディアアート・サイエンス研究室」は、計画途中で経済状況が悪化した関係で少し時間がかかったんですが、2009年の9月に完成し、2010年1月にオープンする予定です。かつてI・M・ペイが1985年につくった「メディア研究所」のエクステンションでもあり、その隣に「メディアアート・サイエンス研究室」は位置しています。この写真はボストンから見たマサチューセッツ工科大学の全風景で、白く見えるのが「メディアアート・サイエンス研究室」です。目の前にはチャールズ河が見えて展望が開けています。

コンセプト模型
コンセプト模型
二層吹き抜けの研究室
二層吹き抜けの研究室

施主が望んだのは、できるだけ「メディアアート・サイエンス研究室」をひとつの家のような雰囲気の建物としてつくってもらえないかということでした。「メディアアート・サイエンス研究室」には、二層分の吹き抜け空間を持つ、コの字型の研究室がいくつかあります。ティピカルな研究室の二階は回廊になっていて、その周囲には個室群があり、下の階は共同で研究ができる大きなオープン・スペースという組み合わせです。それが一層ずつずれながら連続して配置され、いろいろな空間があるのが特徴です。

1階〜6階平面
1階〜6階平面
東西断面
東西断面
施工中の様子
施工中の様子

実際は非常に大きな建物で、中央に下部アトリウムという吹き抜け空間があるため、視線が斜めに通るようになります。この下部アトリウムには、いくつかの大きな階段がダイナミックにかけられ、上のスカイ・ライトによって、光が落ちてくるつくりになっています。

最上階は非常に景色がよく、ボストンへの展望が開けているので、カンファレンス・ルームやイベント・スペースを配置しました。

下部アトリウム。階段部分にそれぞれブルー、レッド、イエローが配色されている
下部アトリウム。階段部分にそれぞれブルー、レッド、イエローが配色されている

一番上のカンファレンス・ルームからは、「ジョン・ハンコック・センター」や「プルデンシャル・センター」が見え、外にはちょっとした庭もあります。デ・ステイルはグリーンは使わないということで、それに合わせて階段にもブルー、レッド、イエローを使っています。

この写真は施工中の姿で、今この中ではさまざまな空間が構成されつつあります。この間も現地に行って見てきたのですが、割合と面白いスペースができ上がりつつあるのではかと思います。

南東から見る。ファサードにはアルミルーバーのスクリーンが用いられる
南東から見る。ファサードにはアルミルーバーのスクリーンが用いられる

外観は全面的に表がアルミルーバーのスクリーンになっています。こうしたアルミスクリーンの使い方は、だいぶ前に、「ザルツブルグ・コングレス・センター」のコンペの時に提案したことがあります。またわれわれの事務所がある東京の「ヒルサイド・ウエスト」でもアルミのスクリーンを使っていますが、今回の「メディアアート・サイエンス研究室」ではもっとスケールが大きいものを提案しています。われわれとしては、かなり精微な建物にしたかったので、カプルスインターナショナル社と日本のYKK AP社と綿密に相談しながら、全体のディテールのドローイングをつくっていきました。現在アメリカはLEED( 環境性能評価システム)が設置され、環境のエネルギー・コントロールに対して非常に厳しくなっています。日本でもそうなってきていますが、そうした数値を計算して出さなければけないという状況の中で、アルミのスクリーンを効果的に使っています。

パフォーマンス・モックアップ
パフォーマンス・モックアップ

この写真は二層分のアルミのスクリーンを横から見た姿です。これはパフォーマンス・モックアップと言ってフロリダでつくりました。そこでは気圧、水圧、振動などすべての要求に対して基準をクリアするかをチェックしてつくり出す設備が整っています。その次はケンブリッジでもう少し細かいエスタティック・モックアップという、コーナーのディテールなどを決めるためのモックアップをつくりました。現在、こうした二種類のモックアップをベースに施工しています。


«前のページへ最初のページへ次のページへ»