アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
これは先ほどいった「北野オフィス」のインテリアです。最近できました。あるメーカーが壁に無反射ガラスを使って、ホワイトボードとして使っていたのですが、それを見て、それがプロジェクターのスクリーンになるのではないかと思ました。そこでそれを使って、全部の壁を構成しました。無反射というのは、光を当てても光源が拡散して見えにくいのです。光源が反射して目に入ってこないのでスクリーンと同じ効果があるのと、非常に細かく表面を荒らしてあるので、水性のマーカーがうまくのって、しかも消えやすいのです。テーブルもそのガラスでつくって、下からプロジェクターで照らすと非常にきれいに画像が映ります。ここは液晶のスクリーンになっていまして、電気をオンにすると透明に、オフにするとスクリーン代わりになります。オフィスのあらゆる壁やテーブルが、どこでもスクリーンになるし、書き込めるわけです。そのままコンピュータのモニターにもなり、その上でマウスも使用でさます。パリの展覧会ではこれを使いました。私の事務所も改築中で全部こういうふうに変えているところです。
今までの話に無理矢理、脈略をつけようとしているようですが、これは、自分のアクティビティがそのまま空間に置き扱わっていくような提案だったと思います。ちょっといい過ぎかもしれませんが、オブジェのように壁をどんな素材にしようかというのではなく、どのようにこちらのアクティビティに応じた空間がでさるのかなと思ったときに、たまたま無反射ガラスが見つかったのです。
これはひとつの例ですけれども、空間はこういうようなものかなという感じがします。素材を何にするか、オブジェクトとしてどうつくるか、空間の構成を空間として考えるのではなくて、やっぱりこちらの身体感覚との関係で空間を考えるべきだと思うのです。非常に些細な例ですけれども、非常に典型的な例だと思います。
冒頭に非常に大げさな話をしましたが、今お見せしたことと、それがうまくつながっているとは、自分でも思っていません。しかし、皆さんもそれぞれの立場で、私と同様に現在の枠組みに対してフラストレーションのような感覚をおもちなのではないかと思います。やはりわれわれ個人個人がそこを突破するような手法を独自に生み出して、個々に闘うというか立ち向かうというか、その壁を破っていかないと建築は開いていかないと思います。今日の話が何らかのかたちでジャンルを超えて開いていけるようなメッセージになっていけばと思います。