アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
大西私たちが生き物的な建築のあり方を考えるようになったのは「千ヶ滝の別荘(2009年)」のプロジェクトからです。これは軽井沢の森の中に計画した週末住宅で、山の中に佇む鹿と同じように建築も佇むことができないかというところから設計がスタートしました。スタディ自体も生き物みたいな形から出発しています。でもそれをそのままつくってしまうとあまりに生々しすぎるので、その生き物のようなものがだんだん建築になって、屋根的なものに変化していく過程の、その狭間の瞬間を捉えるように設計を進めていきました。断面で見ると、森の中の起伏がそのまま建物の中に導かれるよう1階は地形に沿った緩やかなスロープになっています。森を歩いてくると高さ2.1メートルぐらいの低い軒下に入り、一部天井がフワッと高くなるところがあって、そこは上階からの光が降り注いでくるみんなの集まる場所になっています。そこからさらに1階の斜面を上がると2階から3段ぐらい小さなステップが降りていて、自然と2階へ向かうことができます。2階は床がふかふかのカーペットになっていて、思わず寝そべりたくなってしまうような、五感を触発するような空間を目指して計画しました。
「千ヶ滝の別荘」外観イメージ
断面スケッチ