アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
「千ヶ滝の別荘」がムーミンの作品に出てきそうと言われることがあるので、そういう意図のご質問でしょうか(笑)。ムーミンは読んでいましたし、児童文学や絵本もよく読んでいたのでそういったものに影響を受けていると思います。
私たちは休憩所の設計を担当していますが、その他計20の施設の設計を若手建築家が担っています。せっかく万博という機会があるのだから、そこにみんなの気持ちを集めていくようなかたちにできないかなと考えています。どうしたら未来の可能性を考えていけるような場にできるだろうかということを思っています。若手建築家のチームの中でも、みんな複雑な気持ちを抱えながらのプロジェクトを前に進めています。私にとっては同世代の建築家と集まって議論することが初めての機会だったので、そこから新しい社会のかたちや未来が感じられるようなものをそれぞれが全力でつくれることがいちばん大事なのかなと思います。
既存の建物がある時には、できるだけその建物が本来持っている要素がよりクリアになっていくかたちで再生したいと考えています。よい空間は、その空間自体がすごく瑞々しいものだと思っていて、再生する時にはまずその場の空気のどこか澱んでいるところを探し、なるべく気持ちがよい空間になるようにと考えています。
まず事業者選定されたら、案を大幅に変えることは普通は認められません。まして、予算をオーバーする変更は絶対に認められない。でも創造会議の中でやっぱり変えた方がよいということが生まれてきた時には、施工者さんもそれは変えましょうと言ってくださいました。
創造会議ではこう変えた方がよくなるというのをみんなで話し合いました。選定されてから10カ月後に着工だったので、もう1回基本設計をするなんて本来あり得ないスケジュールの中でまったく違う案に変わっているので、とんでもないことだったと思います。
そのため、着工した時には予算を2割ぐらいオーバーしている状態でした。その中で改善策を約200個考えて、全部はできないかもしれないけれど、これをやっていったら予算内に収まると思うから着工してほしいと伝えたのを施工者さんは信じてくださいました。
施工してくださったのは山形のシェルターさんと高木さんです。シェルターさんは、「東松島こどものみんなの家」を一緒につくり、その時いつか「みんなの家」のように公共建築をつくれたらよいですねとお話ししていたのです。それから10年以上の時間が経って、もう1回そのチームで協働することが実現できました。
着工していく中で図面が拙なかったり、金額がなかなか収まらない時に、やっぱり中には不安に思われる施工者さんもいらっしゃったと思うのですが、シェルターの社長の木村さんが、o+hはこれまでの建築も予算内に収めているから信頼しようと言ってくださいました。それを聞いた時に、これにしっかり応えなければと思いました。ちょうど新型コロナウイルス感染症が流行している時期で、他のプロジェクトはリモートでできるので、「シェルターインクルーシブプレイス コパル」は僕自身も現場に常駐していました。
高木の佐藤伸幸さんという現場監督が本当に忍耐強い方で、どんなに現場が大変でも、よくなるんだったらと言ってまず一度話を聞いてくださいました。現場というのは、その現場監督のそれまで培ってこられた人間関係と人間力に支えられているということを改めて感じました。
本日ご紹介した「遊びの手すり」も最終的には両側に付いたんですが、初めは片側1本でした。その1本だけをちょっと曲げようと考えていたのですが、職員さんから本当に手すりが必要な人はまっすぐな手すりじゃないと使えないという意見が出ました。そのやり取りを聞いていた佐藤さんは、手戻りになるけれど重要なことなので両側に付けましょうと言ってくださいました。そういう力に支えられながら何とか実現しました。