アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
百田広島県の熊野町でつくった「熊野東防災交流センター(2021年)」は、渦巻きの形が特徴的な建築です。ここは2018年の西日本豪雨で被災した地域です。蛇行して流れる熊野川が決壊して浸水しました。今ある公民館は山裾に位置しており、土砂災害の危険地域となっています。熊野町は盆地で、谷状の敷地に幹線道路が通っています。この地形的特徴を考えた時に、谷状の地形の中にある小高い丘のようなところが防災拠点としてはよいのではないかと思いました。そして高齢の方でも小さなお子さんでも避難できる長いスロープを考えました。このスロープが氾濫した川の水を受け流す壁の役割もしています。2階に防災ホールというみんなが集まるメインの場所があり、スロープから、また反対方向の山側からも階段を使ってテラスからアクセスすることができます。計画を進める中で印象的だったのが、ペットと一緒にいたいから自宅に留まり被害を受けた方が多数おられたということです。この建物は常時は交流センターなので、講義室や会議室として使われますが、災害時は避難所となります。いろんな方向からアクセスできるこの形状であれば、例えば裏手にある広場側からペット同伴の方が来られて、ペットは広場で滞在しながらペット同伴者の方は講義室を使う、というようにいろんな方のニーズに応えられる計画としています。また、例えば広場でイベントをする時にはこの長いスロープが桟敷席のようになったりします。内部はいくつかの渦巻きのレイヤーが重なり、開口から次の空間が垣間見られるのが特徴です。中心のホールからは開口がいくつか重なった奥に街の風景が見えます。特徴的な形だからこそ、いろんなニーズにも応えられることが印象的だったプロジェクトでした。
「熊野東防災交流センター」外観
2階ライブラリーコーナー2
1階地域カフェから見る
南東側のスロープ1を見る
南側俯瞰
2階平面
1階平面
断面詳細