アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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槇 文彦 - 豊かな空間構成を目指して
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豊かな空間構成を目指して

槇 文彦FUMIHIKO MAKI


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ヒューマンな建築

私はワシントン大学で、コンポジショナル・フォーム、メガ・フォーム、グループ・フォーム(群造形)という集合体に対する3つの基本的な考え方を示しました。1960年の世界デザイン会議で結成したメタボリズムの活動では、大髙さんと一緒に「群造形」という新しい考え方を会場に持っていきました。群造形と言っていますが、どこまでいっても個というものが大事で、その個の集合として集合体があると考えています。それに対して、コンポジショナル・フォームは独立した象徴的な建物が点在し、それらを繋ぐ要素が付加されて集合体となるもので、ブラジルの建築家オスカー・ニーマイヤー(1907〜2012年)によるブラジルの首都ブラジリアなどに代表されます。また、メガ・フォームというのはまず全体の骨格を描きそこに要素を充填していくもので、丹下先生の「東京1960(1960年)」やアルジェリアのコルビュジエによる都市計画のようなもののことです。先日、アメリカ建築評論家のチャールズ・ジェンクス(1939〜2019年)という方が亡くなりましたが、彼は「モダニズムとは大きな一艘の船であった」と言っており、われわれは1960年から1970年まで一艘のモダニズムという大きな船に乗り、その中で友達ができれば敵もできながら大海原を進んできたのだと言っていました。仲よくなって友達となった者たちがメタボリズムやチームⅩ、イギリスのアーキグラムといったグループをつくり、いろいろな議論を展開していきました。しかし、次第にこの一艘の船はなくなり、次の時代になると皆が大海原に放り出され、それぞれが自分の進路や建築の進め方を考えていかなければならなくなっていきます。ただ、その海も完全にフラットではなく、その後のベルリンの壁崩壊やグローバリゼーション、インターネットの登場といった資本や情報などの流動化が大きなうねりとなり、われわれ建築家を揺さぶっています。その中で、ヒューマニズムが非常に大事ではないかということを、私はそのうねりのひとつとして続けていこうと考えました。今日は、そのヒューマンな建築をどのようにつくっていけばいいのかということを中心にお話をしたいと思います。


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