アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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槇 文彦 - 豊かな空間構成を目指して
オープンスペースが都市を豊かにする
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2019 東西アスファルト事業協同組合講演会

豊かな空間構成を目指して

槇 文彦FUMIHIKO MAKI


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オープンスペースが都市を豊かにする

イギリスのロンドンに「アガ・カーン センター(2018年)」をつくりました。このエリアは、ロンドン北部のキングスクロス駅、新たにユーロスターの発着駅となったセント・パンクラス駅の操車場跡地に再開発が進むエリアで、近年のヨーロッパにおいて最大の再開発と言われており、その一角にアガ・カーン氏が土地を持っていました。白い建物の外壁には、スペインの石を使いました。中に入るとイスラム的な雰囲気の、大きくてニュートラルなオープンスペースがあります。また、今も海外で進行中の仕事があります。フランクフルト郊外のヴィースバーデンに建設中の「ラインハルト・エルンスト美術館(2022年竣工予定)」もそのひとつです。

数年前にスペイン・マドリードの友達を訪ねた際に、夕方のサンティエゴ広場に連れていってくれました。そこではオペラハウスの外壁についた小さなスクリーンの前に人だかりができていました。一体あれは何かと友達に聞くと、プラシド・ドミンゴのヴェルディのオペラを上演していて、それが無料で見られるのだということでした。そこから思い出したのは「無償の愛」という言葉です。「Unconditional Love」は、聖書にもしばしば出てくるコンセプトであり、神様の愛でもあるわけです。文化は「無償の愛」であってほしいと思います。今世界中では「有償の愛」が強調され、さまざまな分断が生まれてしまっていますが、オープンな「無償の愛」こそが重要であると考えています。ギリシャ・アテネにあるパナティナイコという競技場は広場と一体となりオープンとなった素晴らしい場所です。人がいなくても彫刻的な素晴らしい風景が広がりますし、2004年にアテネオリンピックが開催された時には、カラフルなたくさんの人によって埋め尽くされた場所になりました。その時はメインスタジアムではありませんでしたが、こういう場所が都市をリッチにしていきます。先ほどお話しした「深圳海上世界文化芸術中心」は、無料で訪れることができる場所がたくさんあり、ここへ来れば、丘に登って香港や街の風景を見ながらエンジョイしています。そういうオープンな場所をできるだけたくさんつくっていくことが、都市を豊かにすることに繋がっていくのではないかということを考えています。

以上で私の講演を終わります。ありがとうございました。


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