アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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私の建築手法
坂 茂 - 作品づくりと社会貢献の両立をめざして
ニコラス・G・ハイエック センター
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2012 東西アスファルト事業協同組合講演会

作品づくりと社会貢献の両立をめざして

坂 茂SHIGERU BAN


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ニコラス・G・ハイエック センター

「ニコラス・G ・ハイエック センター(2007年)」は、銀座に建てたスウォッチグループジャパンの本社ビルとショールームです。国際コンペで一等を取って実現しました。やりたかったことは、銀座らしさと銀座にないものを取り入れることです。銀座らしさとは、大通りから一本道を入ると細い通りに小さな店が軒を連ねているような街の構成にあると思います。逆に銀座にないものは何かというと、それは緑です。あまりにも土地が高くて、公園やオープンスペースのような緑のある場所ができないのです。

ファサードをガラスのシャッターで覆い、四層ごとに大きな吹き抜けのレセプションやロビーの空間をつくりました。そこは機械空調に頼らずなるべく自然の空気を入れられるように、シャッターを開けると中と外が連続した屋外的な空間になるようにしました。また、銀座らしい通りの空間をつくるため、建物の1階をパッセージとして、シャッターが開くと中央通りから裏の通りへ通り抜けることができるようにしています。

「ニコラス・G・ハイエックセンター」5階ロピー
「ニコラス・G・ハイエックセンター」5階ロピー。
1階パッセージより中央通りを見る
1階パッセージより中央通りを見る。

「ニコラス・G・ハイエックセンター」正面外観
「ニコラス・G・ハイエックセンター」正面外観。
1階のパッセージを見る
1階のパッセージを見る。
14階のイベントホール
14階のイベントホール。

「ニコラス・G・ハイエックセンター」断面 縮尺1/800
「ニコラス・G・ハイエックセンター」断面 縮尺1/800
8階平面 縮尺1/800
8階平面 縮尺1/800
5階平面 縮尺1/800
5階平面 縮尺1/800
1階平面 縮尺1/800
1階平面 縮尺1/800

スウォッチグループはスイスなどの有名な時計メーカーをいくつも買い取って傘下に置いているので、その中の8つのブランド(最終的には7つになりましたが)それぞれのショールームをつくる、というのがコンペで要求されたことでした。でもピルの間口が狭いので、要求通りにつくると銀座通りに面するのは一店舗のみとなってしまい、他の店舗は2階や3階、あるいは地下や奥に位置することとなり、商業的に不公平な状況になってしまいます。なので、なんとか8つの店舗すべてを通りに面させることができないかを考えました。そこで、一階のパッセージにすべてのブランドのショールームをつくることにしました。3メートルか4メートルの小さなガラスのショールームなのですが、必要なブランドの数を通りに沿って並べることができます。このガラスのショールームはエレベータにもなっていて、もっとそのブランドの時計を見たい場合には、そのままエレベータに乗って、時計を見ながら他の階にある各ブランドのショールームにアクセスできるのです。まったく施主の要求を無視してこのような提案をしたことが、勝因となりました。

五階のパブリックなロビーまでは誰でも自由に入れますし、時計を直したいと言えばその階にも入れますので、是非足を運んで見てほしいと思います。また、14階のイベントホールの天井はスチールパーを網状に組んでつくっています。ちょうど「ポンピドー・センター・メス(2010年)」という美術館のコンペに勝って木造の網状の屋根を設計している時でしたので、モックアップとしてここで実験させていただきました。

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