アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

マークアップリンク
トップ
私の建築手法
坂 茂 - 作品づくりと社会貢献の両立をめざして
紙の教会
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986

2012 東西アスファルト事業協同組合講演会

作品づくりと社会貢献の両立をめざして

坂 茂SHIGERU BAN


«前のページへ最初のページへ次のページへ»
紙の教会
「紙の教会」外観
「紙の教会」外観。

そんなことをしているうちに鷹取教会の神父さんもやっと信用してくれて、「自分で人集めとお金集めをやってくれるなら教会を建ててもいいよ」と言ってくれました。お金と学生を集めて、10×15メートルの小さなチャペル、「紙の教会(2005年)」をつくりました。5週間かけて学生が手作業でつくりました。長方形の中に楕円形の形があるのですが、これは僕が大好きなローマのボッロミーニが設計した教会[注11]の楕円形をそのまま使わせてもらって、空間の根幹をつくりました。

最初は、2、3年使ってもらえたらということで建てたのですが、皆が気に入ってくれたので11年もここに建っていました。11年目に教会が正式に再建されることになり解体が決まりましたが、ちょうどその頃に台湾でも大きな地震があり、この教会を寄付してほしいと要請があったのです。そこで、部材を全部解体して台湾に送り、今ではパーマネントな教会として台湾の人たちに使われ、喜ばれています。


「紙の教会」ミサの風景
「紙の教会」ミサの風景。
台湾に移設した「紙の教会」
台湾に移設した「紙の教会」。天井を見上げる。

台湾に移設した「紙の教会」外観
台湾に移設した「紙の教会」外観。

このことから、たとえ紙の建築でも、みんなが愛してくれればパーマネントなものになり得るということを実感しました。コンクリートでできた建物でも、地震で簡単に壊れてしまいますし、ディベロッパーが金儲けのためにつくった商業建築のようなものは、別のディベロッパーがその土地を買えば、壊されてその上に新しい建物がつくられます。金儲けのためにつくった建築はコンクリートでできていても仮設なのです。ですから、どういう材料でできているかではなく、その建物が人に愛されるかが、パーマネントなものになれるか、短命で終わってしまうかの違いだと思います。


[注11] 建築家のフランチェスコ・ポッロミーニ(1599年〜1667年)がローマに建てた「サン・カルロ・アッレ・クワトロ・フォン夕ーネ聖堂」。中央に楕円形のドームがある。

«前のページへ最初のページへ次のページへ»