アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
2000年ぐらいになると世界で環境問題が語られ始めました。同年にドイツのハノーバー市で行われた万博もまさにテーマが環境問題で、リサイクル材を建築に使っている建築家は世界でも僕しかいなかったということもあり、日本館の設計者に選ばれました。憧れのドイツの天才的建築家であるフライ・オットー(1925〜2015年)さんと協働し「ハノーバー国際博覧会日本館(2000年)」を設計しました。長さ約74メートル、幅約35メートル、高さ約16メートルの、世界初の紙管のグリッドシェル構造を使った建築です。この紙管は地元ドイツのメーカーにつくってもらい、万博が終わった半年後には全部そのメーカーに引き取ってもらってリサイクルできるように進めました。また、コンクリートはほとんどリサイクルできないので、建物の基礎は木箱をつくって中に砂を詰めて代替しています。平面状に組んだ紙管の格子を手動で少しずつジャッキアップできる仮設材のマルチプロップを約1,000点設置して、数ミリメートル単位で手で調整しながら三次曲面をつくって形を安定化させました。通常、屋根の膜材は塩化ビニルを使いますが、リサイクルを考え、不燃・防水加工を施した紙で屋根をつくりました。また、簡単に施工できて簡単に解体できるように、布のテープがジョイントになっています。
「ハノーバー国際博覧会日本館」内観