アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

トップ
私の建築手法
坂 茂 - 作品づくりと社会貢献の両立を目指して
ハノーバー国際博覧会日本館
2023
2022
2021
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986

2023 東西アスファルト事業協同組合講演会

作品づくりと社会貢献の両立を目指して

坂 茂SHIGERU BAN


«前のページへ最初のページへ次のページへ»
ハノーバー国際博覧会日本館

2000年ぐらいになると世界で環境問題が語られ始めました。同年にドイツのハノーバー市で行われた万博もまさにテーマが環境問題で、リサイクル材を建築に使っている建築家は世界でも僕しかいなかったということもあり、日本館の設計者に選ばれました。憧れのドイツの天才的建築家であるフライ・オットー(1925〜2015年)さんと協働し「ハノーバー国際博覧会日本館(2000年)」を設計しました。長さ約74メートル、幅約35メートル、高さ約16メートルの、世界初の紙管のグリッドシェル構造を使った建築です。この紙管は地元ドイツのメーカーにつくってもらい、万博が終わった半年後には全部そのメーカーに引き取ってもらってリサイクルできるように進めました。また、コンクリートはほとんどリサイクルできないので、建物の基礎は木箱をつくって中に砂を詰めて代替しています。平面状に組んだ紙管の格子を手動で少しずつジャッキアップできる仮設材のマルチプロップを約1,000点設置して、数ミリメートル単位で手で調整しながら三次曲面をつくって形を安定化させました。通常、屋根の膜材は塩化ビニルを使いますが、リサイクルを考え、不燃・防水加工を施した紙で屋根をつくりました。また、簡単に施工できて簡単に解体できるように、布のテープがジョイントになっています。

「ハノーバー国際博覧会日本館」内観

「ハノーバー国際博覧会日本館」内観


«前のページへ最初のページへ次のページへ»