アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
スイスのチューリッヒにつくった7階建ての木造のオフィス「タメディア新本社(2013年)」です。日本では耐火建築物は、このような本当に純粋な木造ではつくれません。最近は大手メーカーが1時間耐火や2時間耐火の柱や梁を開発していますが、これはもはや木造の「ガラパゴス化」が起きていると言えると思います。というのも、日本の非常に厳しい法規に合わせた製品は、構造体の周りに石こうボードやセメントを巻いて表面に薄い木を貼っているだけで、鉄筋コンクリートや鉄骨の構造体に薄い木を貼ったものと変わらないからです。これでは日本でしか使えず、木造の進化とは言えません。
ヨーロッパにはそういう法規がなくて、木材の厚みを増すことで耐火構造とみなせる燃えしろ設計ができます。「タメディア新本社」も木をそのまま露出して、燃えしろ設計でつくっています。また、スチールジョイントやブレースを使わずにつくりたいと考えました。木の柱の両側を梁で挟み、直交方向の梁で貫通させることで、横力に強く回転しないリジッドなジョイントができます。各階を繋ぐ中間領域としてオープンラウンジを設けていて、アルミサッシのガラスシャッターを気候のよい時に開けて半屋外の空間にできるようになっています。
「タメディア新本社」外観
オープンラウンジと階段を見る
施工の様子
詳細断面
柱梁組み立てのアクソノメトリック