アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
台湾の台南市につくった「台南市美術館(2019年)」です。たまたま台南市のシンボルフラワーである鳳凰木が五角形だったので、五角形の屋根をつくりました。街の中心にある美術館なので、美術館と同時に公園をつくりたいと考えました。ギャラリーを積み木のように積んでずらしながら、市民が自由に入れる屋上庭園や彫刻の庭をつくっています。どのフロアからも美術館の中に入れるようにしています。屋根はフラクタルルーフといって、分割しても常に同じプロポーションの図形で終わるジオメトリを採用しました。京都大学の酒井敏先生がこれを使った「フラクタル日よけ」を開発し公園の休憩場をつくっていたので、彼と協働して巨大なフラクタルルーフをつくろうと考えました。シミュレーションでは、台南は一年中日射が強く、建物をそのまま太陽光にさらしていると建物の表面温度が60度になる状況に対して、通常の屋根をつくると冷房効果が約10パーセント削減できる計算になりました。ところが、同時に屋根から出る放射熱の問題が生まれます。それに対して、フラクタルルーフであれば木陰の下にいるような環境になり、木陰で葉っぱが気流を起こして涼しいように、フラクタルも気流を起こして涼しい空間が下に生まれます。シミュレーションしてみると、15パーセントの冷房負荷削減効果があることが分かりました。建物中央に設けた吹き抜けのアトリウムはフラクタルルーフから光と影が落ちる空間になっています。
「台南市美術館」西側外観
屋根は五角形のフラクタルルーフとなっている