アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
被災された方は仮設住宅に入るまでに4カ月ぐらい避難所生活を余儀なくされます。もちろんプレハブメーカーも必死につくってはいますが、決して住み心地がよいわけではありません。隣の音は丸聞こえですし、結露もします。東日本大震災の際はずいぶん地盤が流動化してしまい、平屋の仮設住宅だと十分に建設面積が取れないんじゃないかと考えて20フィートのコンテナを市松模様に積んだ3階建てのコンテナ住宅を東北3県に登録しておきました。この模型を持ちながら避難所の間仕切りをつくっていたら、宮城県の女川町の町長さんから「190世帯必要だが、野球場のグラウンド一面しか残っていない」という話を受け、このコンテナ住宅の工法だと190世帯建設できることが分かり「女川町仮設住宅(2011年)」をつくりました。野球場ですからコンクリートの基礎は打てないので、鉄板を敷いてその上に載せるだけです。コンテナを市松模様に積み、コンテナの中にはユニットバスと寝室を入れ、コンテナの間の空間は全面にガラスを入れてリビング・ダイニング・キッチンとしています。大きさも広さも、それから建設コストも、プレハブ住宅とまったく同等です。それでもこんなによいものができるのです。しかしここで、新しい問題をつくり出してしまいました。本当は4年間で仮設住宅から出ていく必要があったのですが、住み心地がよいということで誰も出てくれない。結局8年間住み続けてもらい、解体され敷地は野球場に戻りました。
「女川町仮設住宅」外観
9坪タイプのダイニング・リビング・寝室
9坪タイプのダイニングより見る
9坪タイプ平面
12坪タイプ平面
断面
アクソノメトリック